テレビ業界から一転、フリーライターに。「2度の受講は、どちらも学びが得られました」

ブックライター塾の1期と3期を修了された田中圭太郎(たなか・けいたろう)さん。1期受講時はテレビ局に勤務していました。テレビ局では15年間報道部、4年間営業部に。退職と同時にブックライター塾3期を受講。3期卒塾後は、社会問題を扱うジャーリストとして、そして相撲記者として、WEBメディアや雑誌を中心に執筆しています。最近は、ふるさと大分の情報を発信するメディアの運営にも携わり、活躍の場を広げています。

田中圭太郎(ブックライター塾1・3期生)
取材/稲田和絵(ブックライター塾5期生)

ブックライター塾との出会いと学び

――ブックライター塾を受講するきっかけは?

ふらっと立ち寄った書店で『職業、ブックライター。』が目に飛び込んできました。「ブックライターって何だろう?」と。買って読んでみたら、藤原和博さんの『坂の上の坂』について書いてある。実はそれまでに、『坂の上の坂』を読んでいて、「作家でもない藤原さんが、どうやってこの本を書きあげたのだろう」と不思議に思っていたのです。その謎が解けました。それと同時に、ブックライターという職業について、俄然興味が湧いてきて。それで受講してみることにしたわけです。

――田中さんは1期と3期を受講されていますが、それぞれに違いはありましたか?

1期のときは、特にライターになりたいとは思っていませんでした。「ブックライターってどういうものだろう?」という好奇心からの受講です。講座で教わったブックライティングの手法や手順というのは、テレビドキュメンタリーの作り方と共通項が多く、すんなりと入ってきました。私はそれまで映像制作中心の仕事をしていて、長文を書いたことはなかったのですが、文章を書くための準備、文章の組み立て方がよくわかりました。
3期を受講したのは、テレビ局を辞めた2日後。今度は、フリーのライターになると決めての受講です。3期で習ったことは、ライターとしてすぐに活かすことができました。私はまだ書籍のライティングを担当したことは1度しかありませんが、ブックライター塾で習った技術というのは、報道記事の作成にとても役立っています。ブックライティングの手順を6,000~8,000文字の文章に適用し、今でも塾で教わったやり方で書いています。

迷いの中で見つけた、ライターという選択肢

――フリーランスに転向された経緯について聞かせてください。

テレビ局に勤めていたとき、40歳を前にして、「このまま管理職になるのか、それとも新しい道に進むのか」という迷いがありました。『坂の上の坂』を読んだのも、その頃です。「新しいことをやるなら40歳が最後のチャンスだろう」という思いが、ブックライター塾の2度目の受講につながっています。

最初にブックライター塾を受講してから、ライターになると決意するまでに1年ほどかかり、実際にライターになるまでに2年かかりました。「今の仕事を全うしてから」という思いがあったため、独立するまでライターとしての仕事は一切請けていません。通常なら、副業でライターを始めてからフリーランスに、というステップを踏むのでしょうが、私はまっさらな状態からのスタートでした。

――ご家族の反対はありませんでしたか?

会社を辞めたのは、ちょうど娘が中学に進学するタイミングでした。私立中学なので学費もそれなりにかかります。もちろん、独立するにあたり多少の蓄えをしていましたが、未経験でライターになるというのはなかなかの冒険でした。当然、妻も不安な気持ちでいたはずです。しかし、フリーになることに大きな反対もせず、理解して許してくれました。妻には本当に感謝しています。

業績右肩上がりの人気ライターに!

――フリーになって、よかったことは?

フリーランスになって、初めて休肝日というものを取ることができました。テレビ局で報道の仕事をしていた時は、0時に仕事を終えても2時、3時まで飲むような生活でしたし、営業の時は接待の毎日でした。
フリーになってからは、とにかく体が楽です。健康になりましたね。締め切り前の忙しさというのはありますが、通勤時間がないので、睡眠を確保できます。ストレスも激減しましたし、フリーになったことに対する後悔というのは一切ありません。
また、ライターになってから収入はずっと右肩上がりで増えていて、前職の年収に追いつく日もそう遠くはないと感じています。

――現在のお仕事について聞かせてください。

現在は報道系の記事が1/3、相撲に関する記事が1/3、その他が1/3という感じです。今の仕事のうち、実に7割以上がブックライター塾のつながりからいただいたものです。
ライターとしての実績が全くない状態でしたが、仕事が途切れることなく、むしろ順調に増え続けています。未経験でも、ブックライター塾のおかげで業界のことをすぐに理解できました。上阪先生や講談社の唐沢さん、事務局の方、塾生の皆さん、相談できる人がいるというのは、大変心強いです。
ブックライター塾での交流は、講座が終わったあともずっと続きます。ブックライター塾でのご縁がなければ、今の私はなかったでしょう。本当に、塾に足を向けて寝られません。